みどりのこかげ - 30代初マタ&フルタイム共働き-

30代で初めての妊娠、フルタイム共働き、両実家遠方…。幸せな家庭と自分らしい働き方を望む30代女性の日常。

出産⑤ 家族写真

この記事は「出産① 雨の中の入院 」「出産② 人工破膜」「出産③ 効かない麻酔」「出産④ 分娩室渋滞」の続きです。

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 お産の進行状況分からないけど本気で出すつもりで集中した。すると、徐々に進んだようで、「頭見えてますよ!」と声をかけられた。この辺りでついに「ご主人呼んできましょうか」と言われ、お願いする。早くきてもらわねば。入院してこんな苦しい道乗り越えて立ち会いに間に合わないのはあり得ない。

…そう思った時、ふと、私の頭にパッとアレが浮かんだ。

「あ、カメラも忘れずにと、お願いします」

そう、持参カメラ。

分娩室がたぐい稀なる渋滞状態で~とか、なかなか麻酔が効かなくて~とここまで長々とダラダラと書いてきたが、これもここに書かねばならない。

私には「産むぞ」という強い意思がメキメキ沸き上がったと同時に、もう1つ強い思いが浮かんでいたのだ。

 

家族写真を撮るのだ

 

という強い意思。そう、これはバースプランにも書いていて、その為にも夫と共に新品一眼レフを準備していたのだ。…買ったのはもうちょっと前だけど。 分娩台のうえからリマインド…麻酔が最後の最後で効いてきただけある。突然の冷静な発言に、先生と助産師さんは笑った。

ほどなくして、夫が登場した。医療用の白い服、医療用の緑のシャワーキャップをした、給食当番みたいな姿でカメラ持った夫。「給食当番みたいだね」と言いそうになった。でも言っちゃいけない気がしてのみこんだ。ただ、産まれるまでまだほんの少し時間的余裕があったので、夫に声をかけた。

「カメラ問題ないか試し撮りしておいたら?」

また、先生と助産師さんがフフフと笑った。妙に冷静なコメントだったみたい。確かに冷静に考えたらそれ言う状況かと言いたくなるし、あと、どこを試し撮りしろというんだとツッコミたくもなる。が、夫も私もおっちょこちょいなところがあり、実は家でカメラを触った時、セルフタイマーになっていたというヒヤリハットがあったので、念には念をという意識が働いての発言だったのだ。…開脚で間もなく赤ちゃんが出てきてくれるというシュールな光景のもと、「パシャ」…夫は分娩台の台を撮影していた。夫は誠実で素直な性格です。試し撮り問題なし。

これまでの苦しみは本当に絶頂の綱渡りだったのだけど、この最後の最後に ←しつこい 効いてきた麻酔、それだけは非常に救われた。

 

いきみ再開。

「頭見えてるの、見ますか?」助産師さんに聞かれる。「え、どうやって…?」と尋ねると、「今見せますね」と鏡持って写してくれた。

衝撃、お股…というか"出口"がほぼまん丸になり髪の生えた頭が確かに出てきてる。「この塊を出すイメージで次いきめますか?」と言われ、「はい」と決意。ここまできて吸引はさせない。。

絶対出す、私が産む!

そう心に決めた。具体的に鏡で見せられた事でイメージもしっかり湧いた。次の陣痛を待った。麻酔のせいか強くは波感じなかったけど、精一杯、あの髪の生えた塊を出すつもりでいきんだ。

その時、ふとこれまでの妊娠期間のことが走馬灯のように流れた。

望みながらもなかなか授かれず、それでもようやく検査薬が反応して妊娠が分かった瞬間のこと。妊娠初期、仕事で重いものを持ってお腹が痛くなり、心配で病院でエコーしてもらうとピョンピョン動く元気な姿を見られてホッとしたこと。つわりに苦しみながらも仕事を続け、長期休暇はどこも行かず家で寝て休み、夫もどこにも行かず一緒に居てくれたこと。健康妊婦を自負していたら切迫早産になり急遽入院となり初めて涙したこと。予定日が近づき陣痛をいまかと待ち続けてたら全く兆候がなく、想定外にボロボロの心になったこの数週間のこと。ずっとずっと、我が子に会いたかったこと。

 

どんなお顔?11ヶ月一緒にいた貴方は、だれ?会いたい!ついに会える!

 

枕もとで夫が見守ってくれている。夫も心が一緒なのを感じた。次の瞬間…、

ドュルルル…

何かが出てきた…出し切るまで力を入れようとしてたら、「もう大丈夫、息普通でいいですよ!」と言われ、力を抜く。

赤ちゃんが首と身体持たれ、取り上げられたのが見えた!少しの処理をされる間に「泣くんだよ!」と夫が言った気がする。

私は感動で言葉がなくなった。

次の瞬間赤ちゃんが泣き出した。

オギャァ、オギャァ!

元気!時間を確認する看護師さん。夫、「頑張ったね、頑張ったね」と涙流しながら繰り返した。私は第一声なんて言うのか?この時、不思議なことに分娩台にいる自分とそれを冷静に観察する内面の自分、2人いた。私は”私”の言葉を待った。

「頑張ったね…」

”私”も夫と同じ言葉だった。夫の「頑張ったね」は、赤ちゃんに言ったのか、私に言ったのか、2人ともに言ったのかわからない。”私”は、赤ちゃんに言った。「頑張ったね…」。よく来たね、そう思った。

夫と顔を見合わせた。2人とも笑顔で涙流してた。

 

その後、夫、周りに促され撮影。こんな瞬間まで撮影できるとは実は夫も私も思ってなかったのだけど、出てきたばかりの赤ちゃんも撮影できた。試し撮りした成果ばっちりである。

助産師さんがへその緒切った後、赤ちゃんを一旦お腹の上に置いてくれた。まだ血がついて処理される前の赤ちゃんの右手を、私の左手で触れた。温かい…。その後、「赤ちゃん綺麗にしますね」と産後処理始まった。

その後、初めての家族写真撮影をした。

 

結局入院して無事2日で出てきてくれたけど、会える日はずっとずっと前から待っていた。

 

出てきてくれてありがとう。

頑張ったね。

ずっと一緒にいたけれど、ずっと会いたいと思っていたよ。

 

 

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その後、出産後の処理を先生がしてくれて、しばらく分娩室で休憩したのち(容態を落ち着かせる為妊婦は皆そうするらしい)、個室へ戻った。

 

私たち家族の新しい1日、新しい生活が始まった。

 

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長くなったけれど、以上が私の入院~出産です。

元々、出産レポ出来たらと思って、入院の際、手元で出産の流れをメモしてたものを元にブログに書いた。が、メモが微妙に細かすぎて修正してたら不自然になったり冗長になったり…。が、完璧なものでなくても記録することに意義がある、ということでリリースしてしまった笑。

お付き合いありがとうございました。

そういうわけで、無事、出産!

出産て本当に1人1人違って、でも共通してるのはどれも大変壮絶なものってことだなと思う。私の出産も、凄く大変だった~みたいに書いちゃったけど、これより遥か壮絶な経験をした人は五万といらっしゃることでしょう…。でも、だから私の出産は大したことないよ~、こんなのフツーです~と流しちゃうのも、勿体ない気がして。1人1人の出産って奇跡だし、それぞれのストーリーが唯一無二の尊いものと捉えても良い気がしている。

 「安産」という言葉もあるけれど、それは「痛くなかった」なんてことでは断じてなく、例え安産でも全く苦しみなく産めることはまずない。そして、「全く不安が無かった」という人だって、きっといないと思う。

どんな出産でも、痛みや不安を抱えながら、無事に我が子を産みたい、我が子に会いたいという一心で、臨むんだと思う。

これから育児が始まります。というか始まってます笑。これからも大変な予感しかしないけど、大変さも含めて、”唯一無二”を家族で経験していきたいと思います。