みどりのこかげ - 30代初マタ&フルタイム共働き-

30代で初めての妊娠、フルタイム共働き、両実家遠方…。幸せな家庭と自分らしい働き方を望む30代女性の日常。

出産③ 効かない麻酔

***出産の話、「出産① 雨の中の入院 出産② 人工破膜 の続きです。***

内診と”爪”による人工破膜の処置、その間僅か30分程度の事だった。

が、壮絶な痛みに呆然。もう頭の中何も考えられなかった。激痛。いや激痛なんて次元ではなかった。一応なんとか立つことが出来、自分で歩いて陣痛室に戻ったのだけど、来た時ですらゆっくりだったのに、倍以上の時間をかけて亀みたいな速度で半歩ずつ部屋に戻った。

部屋に夫がいて、思わず「痛かった…」と涙が出た。部屋を出るときは比較的普通に出ていった妻が激痛で顔をゆがませて帰ってきたのだから、夫もなんともいえない表情で、おろおろした様子だった。私は助産師さんらに支えられながらベッドに横たわり、それから1時間、全身硬直したように微動だにせず横になった。

痛くて痛くて堪らなかった。

痛すぎて指1本はもちろん身体のどこも動かせず、ベッドで仰向けになり、まるで小学生の「小さく前にならえ」のポーズみたいに、両腕も直角に曲げたまま手もふんわりパーのまま、ずっと、じーっとしていた。麻酔打ってなかった事を大後悔。打っててもどれほど効いたか不明だが…。とりあえず、麻酔を依頼した。

しかし、既に猛烈な痛みを感じていたからか、麻酔をいくら投与してもなかなか痛みは私の身体から出ていってくれなかったのである。。。そして、痛みはとんでもないレベルに発展していく…。

夕方、酷い痛みのレベルで陣痛到来。

トイレ行く余裕も無し。しかし尿のせいで余計に痛みがきてるかもとの助産師さんの言葉で、人生で初めて導尿した。人工破膜のくだりから感じていたが、なされるがままの状況で、自分が動物実験のモルモットのような気持ちになっていた。

1時間ほどして麻酔追加を依頼。

背中に冷たいものが管を通ってくのが分かるが、一向に痛みはおさまらない。それまで「痛い痛い」と言っていたがそれすら言えなくなっていく。夫に背中さすってもらおうと言ってみるが自分の姿勢(壁を背にしてた)を変えられず、夫がベッドに座りさすろうとしてくれるが、ベッドに座った時の微かなバウンドが響いてキツイ。「揺らさないでゆっくり座って…」と苦痛に顔歪めつつ伝える。もう余裕ゼロ。夫に背中や腰をさすってもらうが麻酔の針のところにも触れるので「そこはダメ、麻酔の針ある」と片言で説明。説明するのももうしんどい。自宅から持参したテニスボール思い出し、夫に鞄から取りだしてもらう。それでさすってもらうも効果感じられずすぐ終了。念のため自分で場所を確認しさすってみる。が、効果感じられず終了。むしろしんどい。部屋には陣痛のいきみ逃しの為の特別な椅子もある。けれど、そもそもとんでもない痛みの中では最早立てない。麻酔投与してるはずなのに、痛みは増すばかりで本気で我慢が無理になってきた。こんなに痛いのにまだ分娩室に行けないのかと絶望的な気持ちになった。

さらに1時間後、再び麻酔追加。

すぐ追加して欲しかったくらいだが50分間隔を空けないといけないとの事で、追加できるとなった途端即依頼した。もう、モルモットと化した自分は全てにおいて限界だった。

その後はもう時計を見る余裕もなかった。どうして分娩室に入れてもらえないんだろう(涙)という絶望感を抱きながら助産師さんをナースコールで呼ぶ。

「もう我慢出来ないくらいです…」

そう訴えると、思いのほかすぐ分娩室へ移動する事になった…!もっと早く言えば良かった涙…絶望の中にようやく一筋の光、苦しみの終焉の足音がした。するとなんと、ストレッチャーが運ばれてきて、助産師さん、看護師さん2人がかりでベッドから平行移動。まさか移動でストレッチャー使うとは…。確かにもう歩くとか立つのも無理で、平行移動で乗るのすら、かなり必死だった。促進剤と麻酔の管が絡まらないようにするのも既に必死。ただ、分娩室に行けるとの事で少し出産が近づき希望が持てた。